去年今年、貫く棒の如きもの
去年今年(こぞことし)、貫く棒の如きもの
中学生の頃、松江市作文コンクールで「短歌」を堂々と出品した私。 もちろん、好きです。こういうの。 高浜虚子の有名な句ですが、この時期になると、寺の鐘のように心に響きわたります。
ゆく年を思い、人々はやり残しのないように残りの数日、懸命に意識を集中させる。 ここに来て、やっと。 来る年を思い、師走の雑踏に理由のない焦燥感を覚え、事故やアクシデントがそこらじゅうで起こる。 「来年こそは!」と新しい人生でも始まるかの如く目標の種火を燃やし始める。
いつの時代も同じだったんだと思います。 その真理を虚子は冷淡に且つ、的をついて俳句にまとめたのでしょうか。
新年とは、忙しい我々が心落ち着かせ、他に感謝したり、我を省みるのに大切な節目であるのは間違いありません。 その価値をあげるためにも、この句にもあるように「貫く棒の如き」信念をもって、まさに新年を迎えたいものだと感じるのです。 その「貫く棒」がなければ、この句に読めるもう一面「新年も昨日から今日に変わるだけなのに、今になって焦り、今になって本気になり、やがて何も変わらないまま力よわい棒が続いて行くよ」ということになるのでしょう。 来年一年を既に働いたイメージで今年を振り返り、何にも動ぜず、浮かれず、新しい年を受け入れたいと考えています。 みなさま、今年もありがとうございました。よいお年を。 SOLLUX 2013 代表取締役 川中實