あなたの好きにしたらどうですか?
「世の中の不便を解決するのがビジネスなので、そもそも儲からないビジネスは必要ないものですわ」 「ビジネスやってて儲からないなんてことはないはずなのに、儲からないビジネスがあるっちゅうことは、つまり、簡単ですよ、社長が悪いんですよ」 「経済と他人は変えられないが、経営と自分は変えることができる」
「あなたの好きにしたらどうですか?」
随分前のことになりますが、かつて松下幸之助さんと苦楽を共にされた方のお話しを聞きにいった時に聞いた幸之助さんを代弁した言葉です。最近になって、毎晩のように頭に響きます。
100のいい話を今までも聞いてきました。100のいい本も読んだことだと思います。もちろん、100の素晴らしいワインも飲みました。 100の(までいかないかも)苦労もしたかもしれません。100の個性と出会ってきました。 それが糧となり今の自分がいることだと思います。 今の自分はいいけれど、元々の自分はどこに行ったのだろう…。 サッカーをずっとしていたので、シンプルにゴールを目指す(またはゴールを守る)という目的の中、高い技術と連携が生まれるこのスポーツが大好きでした。そして、フィールドで同じ目的を共有する仲間が大好きでした。
事業の組織づくりも同じように考えていました。サッカーのゴールはシンプルですが、仕事というフィールドで人が働く目的はシンプルではありません。何かひとつの目的でもないし、何かひとつの目的が欠けてもいけないし…。
なんじゃ、そりゃ。
目的共有が出来ない仲間と試合を日々繰り返す中、いつの間にか、パスにはメッセージはなく、当たらず障らずのプレーになっていたような気がします。そうそう、それが大人になるっていうこと。プロ意識が高くなればなるほど、そうやっても試合をこなすことができるようになってくる。 じゃ、なんのために試合をしているのか? 目的提言もしなかったのに、目的共有ができないとよくぞ簡単に思ったものだとあきれます。経験すれば賢くもなるけど、言い訳も達者になる。「とはいっても…」「所詮…」これが大人になることなら、大間違い。
そう、「社長が悪いんですよ」 「あなたの好きにしたらどうですか?」
フィールドで一緒に戦っている仲間が好きだったんですよ。
あれだけ好きだったサッカーもどこかであきらめた時があったのだと思います。
でも、この経営という長丁場の試合だけはあきらめたくないと思うのです。
今日も一緒に戦ってくれている仲間がいるのです。ここに集った仲間の働く目的がシンプルでないのは当然ではないか。それでも、目指すゴールをみんなで見据えて、真剣にプレイしていきたい。そう、戦術も戦略も大切ですが、なくても試合はできます。でも、メンバーがいなかったら試合はできません。
縁あってこのフィールドに一緒に立ってくれた仲間にもっともっと活躍してもらいたい。そして、仲間のことを好きでいたい。一緒に戦ってくれる仲間に集まってほしい。集まった仲間を守りたい。そして仲間と一緒に勝利したい。
「あなたの好きにしたらどうですか?」 元々の自分はこうだったとおもうのです。
そうさせてもらいます。試合はまだ始ったばかりです。 最後に、一緒に戦っている仲間と仕事に誇りを持って「ありがとう」。